算木(さんぎ)と算盤(さんばん)(1/1)

算木(さんぎ)と算盤(さんばん)

  算木は、飛鳥時代に中国から伝来したと言われています。
  長さ3センチ〜5センチ程度の直方対をした棒です。色は、ふつうは赤と黒の2種類を使います。
  赤は正数(プラスの数),黒は負数(マイナスの数)を表します。中国では、普通の紙や布に
  算木を並べて計算をしたようですが、日本では、算盤(さんばん)という、格子を書いた布上で
  計算をしたようです。

  初めは、足し算,引き算,掛け算,割り算も算木と算盤(さんばん)で行われたようですが、
  室町時代の終わりころやはり中国からそろばん(算盤)が伝来し、足し算〜割り算は
  そろばんで行うようになりました。一般には、算木は使われなくなりましたが、当時の和算家は
  算木は天元術により2次方程式や3次方程式を始めとする多次方程式の近似解を求めることが
  でき、算木とそろばんの両方を使ったようです。
  映画「天地明察」でも、算木とそろばんを一緒に使っています。

算木の置き方

  『算法天元指南』に次のようにあります。

  算木の置き方は、縦式と横式があり、一の位は縦,十の位は横,百の位は縦,千の位は横、
  また、分の位は横,厘の位は縦,毛の位は横、他はこれにならうとあります。
  さらに、5の時は、5本置いて、5算1本だけは置かないとあります。

  これにならって、私も算木を置いてみました。

  これで、商(しょう)が6611,実(じつ)が722.7,法(ほう)が8833,
  廉(れん)が944.9,隅(ぐう)が55です。格子が小さくて、横式は、入り切らない。

  縦式と横式が桁で交互に有るのは、非常に使いづらいですね。
  中国から伝わったのはこの置き方で、中国では格子の無いところで使ったので仕方ないですね。
  掛け算や割り算で、「進退」するときはどうするのだろうか?
  『算法天元指南』を見ると、次のように書かれています。

  この図は、掛け算の時に、算木を一桁進めたところですが、やはり縦式と横式に置き換えて
  います。


  江戸時代後期には、横式しか使わない人も多かったようなので、私も以降は横式のみ
  します。

  ただし、書物に書かれている場合は、縦式と横式が交互に使われており、負数は斜め線を
  入れて表されています。

 算木を使った計算例

  繰り上がりの無い足し算

  繰り上がりの有る足し算

  繰り下がりの無い引き算

  繰り下がりの有る引き算

  掛け算

  割り算

  平方根の計算

  立方根の計算

  天元定例

  相減定例〜整式の減法
      同名者相減
      異名者相加
      正無人負之
      負無人正之
      整式の減法1
      整式の減法2〜4

  相加定例〜整式の加法
      同名者相加
      異名者相減
      正無人正之
      負無人負之
      整式の加法1
      整式の加法2〜3

  方程式の右辺から左辺への移項

  二次方程式を解く

  三次方程式を解く

  四次方程式を解く

  天元術で問題を解く1

  天元術で問題を解く2

  天元術で問題を解く3


 《あとがき》
  『算法天元指南』を読みながら、天元術を
  学んだが、理解したというにはほど遠い。
  「商」の桁数の見当の付け方や、「商」の
  立て方が全く分からない。
  「商」が整数とならない場合もやって
  みたい。
  また追記することもあるだろう。

  算木や算盤、天元術は、中国から
  伝わったものなので、ここまででは、
  和算とは言えないのかも知れない。


 《追記》
  「商」の立て方を学んだので追記する。

 「解隠題之法(かいいんだいのほう)」の開方第五附得商を読む
 (方程式を解くときの「商」の立て方を学ぶ)





























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