関孝和の著作
関孝和が刊行した著作は、『発微算法』(はつびさんぽう)ただ1つです。
『発微算法』は、沢口一之が『古今算法記』の遺題15問に答えたものです。
関孝和は、当時考えられるほとんどの問題を手がけたと思われるほど多彩です。
「解伏題之法」(かいふくだいのほう)など手書きの著作が多数あり、
弟子・門人の間で、手書きの写本で伝えられました。
『括要算法』(かつようさんぽう)は、関の没後に弟子たちが刊行したものです。
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刊行とは
刊行とは、印刷して発行することを言います。
江戸時代は、木版により印刷をしていました。
ここでは、刊行物には『 』を手書きの書物には「 」
をつけるようにしていますが、完全ではありません。
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関孝和の業績
点竄術(てんざんじゅつ)
関の最大の業績とされるのは、傍書法(ぼうしょほう)をもちい点竄術を確立した
こととされています。
中国から伝わった天元術(てんげんじゅつ)は求める数を未知数として方程式を
立て、問題を一元方程式に帰着することで、近似的に解ける方法です。
しかし、天元術では未知数を、算木を置く場所で表しているので、
多変数の高次方程式を扱えない欠点がありました。
関は、算木でなく、紙の上の文字によって算式を論じる代数筆算をもちい、
未知数を文字で表して多変数の方程式を表現し、計算して解を求めたということです。
『古今算法記』の未解決問題は、多変数の方程式を必要としており、
『発微算法』でそれらのすべての解を示したということです。しかしながら、
『発微算法』には傍書法に関しては書かれておらず、疑いもあったそうです。
貞享2年(1685年)弟子の建部賢弘(たけべかたひろ)が『発微算法演段諺解』
(はつびさんぽうえんだんげんかい)で、点竄術とそれをもちいた解法の詳細を
公開したことにより知られることになりました。
関孝和の業績は、他にも数々ありますが、後日追記とします。
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ちょっと思ったこと
◆天元術とか点竄術とか言うと
忍法○○の術みたいで、なにか煙(けむ)に
まかれそうに感じていました。
術は、(すべ)という読みもあり、問題を
解くすべ=問題を解く方法ということで、
この字を使うと思い、納得しました。
◆不慣れな漢字には、読みがなを付けようと
していますが、どう読むのが正解かなかなか
分かりません。古文書を見ていると、漢字が
違うものもありました。
新七や新七郎、関孝和は関考和もあります。
正解,不正解では無く、もっと広く考えて良いようです。
後日追加予定
◆算木と算木を使った計算例
◆天元術の使用例
◆傍書法の使用例
◆点竄術の使用例
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