「開方飜変之法(かいほうはんへんのほう)」を読む(1/1)



「開方飜変之法(かいほうはんへんのほう)」

  関流和算家の間で伝えられた算術書で、七部書と呼ばれる関流の代表的な写本の1つです。
  関孝和の著作と言われているが、詳細は不明です。


  ここでは、ウェブで公開されている東北大学附属図書館蔵の岡本写0018 の写本を読みます。
  ただし、このデータは、赤黒の2色で書かれたものをモノクロで取り込んだものらしいので、
  数の正負が分かりにくいため、同じく東北大学附属図書館蔵の岡本写0171 の
  「開方翻変五条(かいほうはんへんごじょう」関夫子編術・藤田嘉言解(文化九年)
  を合わせて読みます。


  第1 開出商数
  第2 験商有無
  第3 適尽諸級
  第4 諸級替数
  第5 視商極数

  これが構成で、方程式を論じているそうです。


〈以下は、私のメモです。何が書かれていたか書きましたが、訳文ではありません。〉
〈細かい内容については、元のデータを読まれる事をお勧めします。〉

「開出商数第一」

  開方式(方程式のこと)は、その商(解のこと)により、4つに分けられる。

  (1)全商式・・・商(解のこと)をひとつだけ持つ。(重根も1つと数える。)
  (2)変商式・・・すべて正またはすべて負の、数個の商(解のこと)を持つ
  (3)交商式・・・正負の商(解のこと)を持つ
  (4)無商式・・・商(解のこと)を持たない
    ――――――――――――――――――――――――――――――――― 
   |《「開方翻変五条」の解説を囲いの中に、示します。以降も同様。》              
   |帰除式(1次式)には1つ、平方式(2次式)には2つ、立方式(3次式)には3つ、
   |三乗式(4次式)には4つ、四乗式(5次式)には5つの商(解のこと)がある。  
   |無商式は、虚数を商(解のこと)として作ったものだ。    
   |                                     
   |商を開出する法は、本商を立てて「実」が尽きるまで求め、この時の残りの   
   |式を第1の変式という。                          
   |ここに新たに商を立てて「法」が尽きるまで求める。             
   |この時の新たな商は、本商と変商の差となっている。             
   |また残りの式は第2の変式という。                     
   |ここでさらに商を立て「廉」が尽きるまで求める。              
   |こんどの商は、第1の変商と第2の変商の差となっている。          
    ――――――――――――――――――――――――――――――――― 

  (注)「法」級のことは、「方」級とも書く。原文は「方」と書かれているが、いままでの
     他の部分と合わせて、私は「法」と書きます。同じなので、あしからず。
  

  全商式
   平方
    例をあげている。原文を右に示す。現代的な数式で表すと次のようになる。
    
    算木を使った計算を示す。
    
    ――――――――――――――――――――――――――――――――― 
   |正の商1を立てて、「実」が尽きるが、算木操作で「法」級も空算となり、
   |変商も正の1である。
   |(重根であるが)商は1つなので全商式という。
    ――――――――――――――――――――――――――――――――― 
  

   立方

    例をあげている。原文を右に示す。現代的な数式で表すと次のようになる。
    
    算木を使った計算を示す。
    
    ――――――――――――――――――――――――――――――――― 
   |負の商1を立てて、「実」が尽きる。
   |得られた変式は、無商式なので、商が無い。
   |商は1つなので全商式という。
    ――――――――――――――――――――――――――――――――― 
   変式を現代的な数式で表すと次のようになる。
    
   実数の根は無い。
  

  変商式
     平方
    例をあげている。原文を右に示す。現代的な数式で表すと次のようになる。
    
    算木を使った計算を示す。
    (1)先に商に正の1を立てた場合。
    
     本商が1、変商が1+1で2。

    (2)先に商に正の2を立てた場合。
    
     本商が2、変商が2−1で1。

  
   立方
    例をあげている。原文を右に示す。現代的な数式で表すと次のようになる。
    
    算木を使った計算を示す。
    (1)先に商に負の1を立てた場合。
    
    
    

    (2)先に商に負の2を立てた場合。
    
    
    

    (3)先に商に負の3を立てた場合。
    
    
    
    
    
  交商式
   平方
    例をあげている。原文を右に示す。現代的な数式で表すと次のようになる。
    
    算木を使った計算を示す。
    (1)先に商に正の2を立てた場合。
    
     本商が2、変商が2−3で−1。

    (2)先に商に正の−1を立てた場合。
    
     本商が−1、変商が−1+3で2。
  

   立方
    例をあげている。原文を右に示す。現代的な数式で表すと次のようになる。
    
    算木を使った計算を示す。
    《後日追記》   











  







  無商式
   平方
    例をあげている。原文を右に示す。現代的な数式で表すと次のようになる。
    
    実数の根が無い。
  



  



   三乗方
    例をあげている。原文を右に示す。現代的な数式で表すと次のようになる。
    
    実数の根が無い。
     











  







  第2章以降は、後日追記とします。   
  

  



















































































































































































































































































































































































































































































































  


























































      

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